【レビュー】『PGA TOUR 2K21』 ゲーマーよ!ゴルフも最高にエキサイティングなゲームだぞ!
ゲーマー諸氏、今までゴルフクラブをどのように使ってきただろうか。
神室町でチンピラを殴るためだろうか、ショッピングモールでゾンビたちを撃退するためだろうか。
ここでお伝えしたい。ゴルフクラブでゴルフをすると楽しいということを!
プレイヤーは1人のゴルファーとして大会に参加し、キャリアを積み、実名で収録されているプロゴルファーを倒していく、らしい。
正直言って、これまでゴルフのプロシーンに特段の注目をしてこなかったので、大会やプロの名前が出てきてもピンとはこない。
今まで「みんなのGOLF」などを少しプレイしたことがあるから一般的なゴルフのルールと用語がわかる程度だ。
しかし、ゲーム仲間の紹介でプレイしてみたらこのゲーム、とんでもなく面白いのだ。
攻略しがいのある操作とゲームとの対話
ゲームの面白さとはなんだろうか。
様々な手段を試し、ゲームを読み解いて進行させていくこと。体感的な操作を反復することで身体に覚えさせ、安定したプレイができるようになること。練習の結果がスコアとして反映され、満足感と達成感が得られること。
これらはゲームの面白さの中で重要な位置を占めているだろう。
そして、このデジタルなゴルフにもそれらは詰め込まれている。まさにゲーマーズゲームなのだ。
これがショット時の操作画面だ。ゲージがない?そうである。
本作の大きな特徴は、ショットのパワーやタイミングなどをゲージの目押しでは無く、マウスを前後に滑らせる体感的な動きで操作する点だ。
これが非常にファジーなもので、長距離のドライバーショットなどはマウスを押し出す操作が左右にぶれたり、ゲームが求める速度から外れると容易に曲がっていく。
ショットを打つ前にスイング練習をするという操作ができるため、そこでクラブを試し振りして、狙った場所に打ちこむ好ましいタイミングを探っていくのだ。
これまでにないゲーム操作だから最初は難しい。しかし、難しすぎることは無い。
1ラウンドを回る頃にはなんとなく感覚が掴めてくる。3ラウンド回れば、常に全力真っ直ぐでは無く、曲げたり加減したりの使い道も少しだけ見えてくる。
筆者としてはパター時の予測弾道ラインなどのアシストも切ることを勧めたい。
こうするとグリーンでは、表示されるグリッドに流れる光を見て斜度を見極め、自身でコースを予測して狙いを定める必要があるのだが、これまた最初は5mのパットでも絶望的だ。
しかし、何度も経験して、これぐらいの傾きだとこの曲がりという自身の蓄積が出来てくると、何本かに1本は納得のいくパターが打てる時がある。
これは、感覚的な操作の体得と、プレイ経験が積み重なっておこなわれるゲームとの対話である。エイム操作を手に馴染ませることで、確実なヘッドショットができるようになることや、RPG戦闘でアイテムの使いどころがわかることで、幅のある戦略が取れるようになることと一緒だ。
実にやりがいのある「攻略」なのである。
ゲーム側も一筋縄ではいかせてくれない。絶え間なく変化する風はこちらのショットを曲げてくる。同じコースでも毎回違う攻略が要求される。
身体に馴染ませても操作ミスは出る。ショット時のマウス操作をしくじって狙いでは無い場所へ曲げてしまったら、今度はリカバリーの検討が始まる。
本作では、距離を飛ばせるドライバーショットや、グリーンに乗せるためのピッチショットなど打ち方や使用するクラブによって、それぞれショット時の適したタイミングが変わる。
プレイしていくうちに、自身の得意とするショットが見えてくるだろう。そうすると、いたずらに距離を稼いで飛ばすのでは無く、ミスが少ない自信がある距離に寄せてグリーンを狙うなど、あなただけのプレイスタイルが確立していくのだ。
スコアシート、それは憎くもあり誇らしくもある。
一日中やった甲斐あってついにアンダーパーで回れた。嬉しい! #PGATOUR2K21 pic.twitter.com/MrMnMa5ms8
— 吾和井(あわい) (@away_san) 2021年6月22日
このゲームをさらにアツくさせるのがスコアだ。
いや、ゴルフなんだからスコアがあって当たり前なのだが。
純粋にゲームとしてプレイする観点においても、非常に機能している。
1ホールという短いスパンで即座に結果が出る。調子が良ければイーグルなりバーディーなりと賞賛されて気分が良いし、パターで手間取ったりすればあっという間にボギーを叩いてガックリくる。自分のプレイに対しての評価が即座につくのだ。
ところが不思議なことに、18ホール回ってのラウンドスコアとなると今度は実力なりに収束する。
前半を好調に回られて気分良くしていると、思わぬところで連続ボギーを叩いたり、はたまたその逆があったり。ホールの結果という短いスパンでは相応の揺らぎがあるが、最終的に出てくるラウンドスコアは納得感があるのだ。
だからこそ、試行錯誤を繰り返す毎に徐々に良くなっていくし、始めてアンダーパーで回れたときの喜びはひとしおだった。
ゲーム的な数値の蓄積というよりは、プレイヤーの習熟を楽しむタイプのゲームなのだが、その習熟がラウンドスコアとしてハッキリ反映されるのがプレイ意欲を燃えさせるのだ。
おかげでアンダーパーを目指そうと躍起になって9時間ほど連続プレイしてしまったりなどしたが……。
ここまで語ってきたのはゲーム内の難易度プリセットを「プロ」にし、さらにスイングのタイミングバーとラウンド3回使えるパターの弾道予測機能をオフにした設定である。
本作は非常に多岐にわたる難易度設定ができるため、プレイヤーが望むならば各種アシストやインジケーターをオンにしてカジュアルにプレイしていくことも可能だ。
慣れないうちはカジュアルな設定で感覚を掴んで、徐々に上げていくのも良いかも知れない。
しかし、前述の通りプロ難易度の自身の感覚を掴んでいく過程や、ままならない操作が練習を経て安定していく道のりは多大な面白さを提供してくれる。
筆者としては是非ともプロ難易度でのプレイをオススメしたい。
ながらゲーとしてのゴルフ
ここまではゲームと1対1で探求していく面白さについて書いたが、また別の面の面白さもある。
マルチプレイで仲間を募ってVCなどしながらホールを回るのもまた面白い。
即応性が求められないので、各々のペースでゆったり話ながらプレイできる。
ラウンドが進行していく中で、自然とお互いのショットを褒め合ったりなどして話題も尽き無い。
コミュニケーションツールとしてゴルフは優れているのではないだろうか。なるほど、世の会社員の恒例行事にゴルフがあるのはこういう理由なのか……。
これまでの文でおわかりの通り、筆者はちゃんとしたゴルフのプレイ経験はまったくない。
なので、本作に感心しているのかゴルフという競技に感心しているのか混じり合った感想となったが、それだけ本作がゴルフを感じさせる作品であるということで着地点をつけるとしよう。
【レビュー】『ナリタボーイ』テクノなデジタル世界と郷愁の現実世界が螺旋的に配置されたアクションアドベンチャー
君はテクノソードを手にしたか?なに?まだだって?そこにナリタ・ワンがあるだろう。
一刻も早くナリタボーイとなってデジタルキングダムを救うんだ!
というわけでナリタボーイ感想文です。
ストーリー
1980年代を彷彿とさせる世界。時代の天才クリエイターが「Narita One」と呼ばれるテレビゲーム機を創り出す。目玉となるゲームタイトルはその名も『Narita Boy』。テクノソード を振り回し、どんなゲームにもない冒険が楽しめるパワフルなファンタジー作品と大絶賛。爆発的ヒット作品となった『Narita Boy』は、世界中で飛ぶように売れ、数週間もしないうちに史上最高の売上を記録。
その一方、バイナリコードの内部で、デジタル領域が現実世界とつながってしまった!なんと HIMが復活し、クリエイターの記憶は削除されてしまったのだ。監視プログラム「マザーボード」とそのエージェントたちは、世界を救うため、ナリタボーイ・プロトコルを起動した。
スターリオンが襲来する今、デジタルキングダムにはヒーロー『Narita Boy』が必要だ!
このゲームのビジュアルを見てどういった印象を受けるだろうか。
ピクセルで描かれたよくわからないゲーム?レトロ風オマージュされた難しそうなゲーム?テクノでややこしそうなゲーム?そういった印象を受けるのは否定できない。
ゲームを始めた直後までその感覚は続くかも知れない。間違っていない。
……だが、第一印象で本作に触れないことについては断言できる。それは、あまりにももったいないと!
レトロな見た目にリッチな中身
ピクセルで描かれたゲーム世界はオールドな印象を与えながらも、リッチなエフェクトがかけられている。そんなデジタルでありながらも幻想的な世界が各所で表現されている。
ステージも摩天楼建ち並ぶビル街があれば、砂塵飛び交う荒野もあり、足場の多くが水没しているステージもある。個性豊かなステージたちはプレイの楽しみを高めていく。
ナリタボーイ、敵を斬ってる時のヒットストップがなんとも気持ちいい。進めるごとにアクションが増えていくけどボス戦がそれの復習総ざらいな感じがまたよく出来てる。 pic.twitter.com/nJN4vXrOXL
— 吾和井(あわい) (@away_san) 2021年6月14日
アクション部分の手触りは間違いなく最新のゲームだ。
気持ちの良いヒットストップは敵を斬りつけている手応えを感じさせるし、進行とともに解禁されていくアクションは戦闘を単調な繰り返しにせず、飽きさせない。
ゲームオーバーとなった際には、こまめに配置されているオートセーブポイントから再開となるし体力も回復していく。
立ち塞がるボス格は強力な攻撃を持っていて、初見撃破は難しいかも知れない。だが、行動の多くはパターン化されておりランダムな行動は少ない。何度かリトライしていれば着実に攻略できるだろう。
単調に感じるほど簡単では無く、かといってゲーム体験を滞らせるほど難しくも無い。適度なバランスに仕上がっている。
王道ヒーローとノスタルジックな思い出が螺旋構造となったシナリオ
ナリタボーイとしてデジタルキングダムに降り立ったプレイヤーはプログラム用語が織り交ぜられた世界観に面食らうかもしれない。
そこで、取っつきやすいようにこのゲームの物語をざっくりお教えしよう。ヒーローが!剣を手に取り!悪を倒す!以上だ。
そう、デジタルキングダムで繰り広げる活躍は、非常に古典的な騎士英雄譚である。
ナリタボーイは剣を手に取り、時には馬を駆り、悪を倒し、民衆を救い、世界を救うのだ。プレイしていくうちにトリクロマの祝福により、なんとなくデジタルキングダムのこともわかってくる。なぜなら君はナリタボーイなのだから……。
デジタルキングダムを駆け巡りながら、プレイヤーは創造主であるクリエイターの失われた記憶を回収し、追体験していくことにもなる。
こちらはノスタルジックなBGMの中、アメリカと日本にルーツを持つクリエイターの人生を辿っていくパートだ。
昭和の雰囲気が色濃く表現されていて、日本人には馴染みのある雰囲気である。
デジタルキングダムとは対照的に、こちらの物語はすんなりと読み解いていけるだろう。
読み進めていくうちに、クリエイターの物語はデジタルキングダムの誕生へと近づいていく、その時には双方の話が絡み合い、引き込まれるシナリオが展開されている。
パワードスーツ!巨大ロボ!これこそがヒーロー!
ナリタボーイは冒険の中で多くの能力を獲得していく。その中にはパワードスーツを着て敵をなぎ払ったり、巨大ロボに乗ってでっかい敵を叩き伏せるなんてものもある。
非常に日本的なヒーローのお約束を踏襲していてプレイ中のワクワクがたまらない。
ロボやスーツ操作時のアクションはしっかりとした重厚さが表現されていて、ジャンプするだけでも楽しい。
とかくこのゲームは表現という部分に優れていて、それはこういったアクションでの手触りもあるし、盛り上げどころがわかっている音楽でもあるし、もちろんシナリオライティングもある。
ボリュームや雑感など
クリアまでの総プレイ時間は10時間ほど。シナリオを楽しみながらもゲームプレイの満足感を得るのに丁度良いボリュームであったと思う。
デジタルキングダムの各所を進んでいくゲームではあるが、基本的に動くのは進行中の1マップであり、地図の表示なども無いためメトロイドヴァニア的な探索要素は薄い。
達成する目標はテンポ良く提示されていくため、やることがわからなくなる可能性は少ないだろう。
だが、進行アイテムなどを入手した後は、使用場所にマークは出るもののマップ遷移を挟んだナビゲーションは無いため、どこで使うかを忘れてしまうと迷うかもしれない。
長いゲームではないため、手を付けたらクリアまでプレイしてしまうのがいいだろう。
ゲームが進むごとに展開していく物語は、間違いなくクリアまでの原動力となるから大丈夫だ。
【レビュー】『Ignis Universia: Eternal Sisters Saga DX』軽くプレイできるJRPGオマージュアドベンチャー
Ignis Universia: Eternal Sisters Saga DXをプレイしたので軽く感想文。
本作はJRPGチックなモチーフをとったアドベンチャーである。
プレイヤーはなにやら「零能力者」といったものらしい「あなた」となって、予言に謳われた4人の聖女を探し悪しき魔法使いを倒すと言ったストーリー。
メインのシナリオで15分ほど。もう一本、モンスターの襲撃や異変を辿っていく一連のサブシナリオがあってそれもまた15分ほどの、計30分で楽しめる作品だ。
4人の聖女集めはアドベンチャー式であるが、MAPに表示されている目的地を順に回るだけで達成できる非常に低難易度なもの。
ゲームとしての解法探しをする作品ではなく、シナリオを楽しむ作品と言える。
4人の聖女となるキャラクターは、それぞれが個性的な魅力があり、ゲーム進行に華を添える。
画像のシルバンナはことある毎に様々なクラフトビールを開けては飲んでいた。余談だが妙にビールの設定に拘りがあったので作者はきっとビール党だろう。筆者もIPAとか好きである。
JRPG風な雰囲気に馴染むキュートなグラフィックも評価点だろう。
シナリオは全体として砕けた調子であり、ライトノベルやweb小説を彷彿とさせる。
あまりにもメタやオマージュ的なギャグが連発されて若干食傷する部分もあったが、全体としてはシナリオの「軽さ」はキュートなビジュアルや短いプレイ時間とマッチしており作品を良い方向に印象付けている。
RPGとしての戦闘もあるが、実際としてはシナリオのギミック程度であり、お約束通りに行動をさせていれば詰まることはまず無い。
案外RPGとしての面白さを表現できている戦闘部分だったため、正統RPGとして作ってみても面白そうではあった。
上述の通り30分ほどで楽しめるプロローグ的作品である。
JRPGオマージュ、軽妙なシナリオ、カジュアルなグラフィック、RPG戦闘を交えたアドベンチャー…興味を持つ部分があったらプレイしてみてはいかがだろうか。なにせ無料だ。支払うのはあなたの価値ある時間だけ、筆者に取っては見合うだけの面白さはある作品であった。
【レビュー】『シロナガス島への帰還 -Return to Shironagasu Island-』良質なエンタメビジュアルノベル
皆さんは『フロムダスクティルドーン』という映画をご存知だろうか。
タランティーノとロバートロドリゲスがタッグを組んだ映画だ。序盤は強盗に巻き込まれた家族達のサスペンス的なロードムービーだが、途中からなぜか吸血鬼集団との大バトルになる傑作エンタメ映画だ。
ちなみにこの話は何の関係も無い。ゲームの話をしよう。
シロナガス島への帰還 -Return to Shironagasu Island-
―私は帰還する あの忌まわしきシロナガス島へ―
絶海の孤島『シロナガス島』を舞台としたミステリーアドベンチャーゲーム。
あなたは探偵『池田戦』となり、助手の『出雲崎ねね子』と共に『シロナガス島』の秘密を探ることになります。
大富豪の遺書の中に残された『シロナガス島』への招待状。
ニューヨークで探偵業を営む男『池田戦』は、特殊な能力を持つ少女『出雲崎ねね子』と共に島へと向かう。
そこで起きる数々の奇怪な殺人事件。
果たしてシロナガス島に隠された真実とは……?
すべての謎を解き、呪われた島から脱出せよ!
本作は上記のようなストーリーを持つビジュアルノベル作品だ。探偵を主人公としたノベルゲームということで、プレイ前は推理ゲーム的なものを想像していた。だが、プレイをしていて難解な推理が必要な部分や、解けなければ進めないと言った箇所はなかった。楽しみを途切れさせること無く最後まで一息にプレイできる。
そのおかげで筆者は深夜4時までプレイしてしまったが…。
ほぼ一本道のノベルゲームであるが、スピードを要する選択肢が出てきたり、グラフィックと音楽がシナリオ展開に噛み合っていたりとゲームという媒体を十二分に活かしたタイトルである。
新本格的な殺人、謎、怪奇……そして魅力あるキャラクター
プレイしていて思い浮かんでくる作品は新本格ミステリである。それも、綾辻や有栖川といった初期というよりは、西尾、舞城、佐藤友哉といったメフィスト賞的なフィーリングの作品といえよう。
物語の舞台となるシロナガス島には明らかにおぞましい秘密があり、大半の時間を過ごす洋館は至る所に不気味な絵が掛けられ、ミステリのトリックにしてくれと言わんばかりの大仰な仕掛けが施されている。
そこで起きるのは凄惨な殺人だ。一見すると登場人物の誰も実行することが出来ない不可解な殺人である。
プレイヤーはニューヨークでは悪名高き探偵である池田戦となって、事件の真相を…ひいては物語の舞台に隠された真実を突き止めていくのだ。
何よりもこの作品を魅力たらしめているのは、個性溢れるキャラクター達だ。
主人公である池田戦はハードボイルドにスカした言い回しを繰り返すし、助手の出雲崎ねね子(画像↑)は完全記憶能力を持ち、20カ国語以上を話すが極度の人見知りで池田以外とはマトモに会話をすることが出来ない。
特にこのねね子のキャラクター造形がよく出来ている。池田は主人公である都合上、モノローグでの登場が大半になるため、ゲーム上に立ち絵が表示されることが無い。
ねね子は相棒という立ち位置ゆえに画面上によく登場する。そしてこの黒髪の長髪と重たげな冬服の制服というビジュアル!まさにおどろおどろしいミステリの助手役として適任だ。
ねね子の池田への態度は多くは悪態だが、それゆえに時折見せる信頼し合うパートナーとしての立ち回りが非常に光る。
この作品の素晴らしさに出雲崎ねね子というキャラクターは非常に貢献しているのだ。
主人公コンビ以外のキャラクターもどれもアクが強く、殺人犯潜む洋館によく似合う。
強気のお嬢様にその従者、酔いどれのアウトロー男、意味深な令嬢やクローズドサークルに必要不可欠な都合の良い検死技術を持つ医者だっている。誰も彼もが秘密を抱え、一筋縄ではいかない魅力的な容疑者達だ。
これは「エンターテイメント」ノベルである。
洋館での殺人から始まり、話はシロナガス島に隠された恐ろしい真実へと展開していく。この話の展開はミステリのジャンルを超越して、様々なエンターテイメントを見せていく。
正直言ってミステリのギミックなどは完全に唸らされたといったものではなかったが、それでもプレイしきった時の感想は「プレイして良かった」である。良テンポで展開していくエンターテイメントに身を委ねる楽しさというものがこの作品にはある。
一つのジャンルでこのゲームを括ると正体を掴みそこねるだろう。ではそれはどういった正体か。
当然筆者はこのゲームを1人でも多くプレイして欲しいという気持ちでこの感想を書いている。是非ともプレイして貰いたい。
ちなみに、本編クリア後はエクストラシナリオがアンロックされる。これまたギャグあり恐怖ありとジャンルを超越しエンターテイメントの枠内を所狭しと跳ね回る出来の良いシナリオだ。オマケにあらず、十分にこれもまた一つの楽しみなのでプレイして貰いたい。
お得情報
この感想文は急いで書き上げた。なぜかというとあと24時間ほどのあいだ半額セールをしているからだ。
価格は250円である。今となっては3級タバコも買えない250円である。だが、シロナガス島への帰還は買える。そしてタバコ1箱をゆうに越える時間あなたを楽しませることが出来る。
Steel Division: Normandy 44が面白いから日記書くね
最近やりだして楽しいなあとなったゲームの紹介だ!その名もSteel Division: Normandy 44
WargameやR.U.S.EのEugen Systems開発のRTS。パブリッシャーはParadoxだがそこまでParadox感はないかも。
君のやることはただ一つ、戦場を築け!
RTSと聞いてどういったプレイを思い浮かべるだろうか?建築物と壁を使った築城?隙あらば生産ショートカットを叩いての無駄の無いワーカー生産?限りある資源を生産に振っての初期ラッシュか技術発展かを選ぶ判断?
Steeel Divisionではそれらの要素はオミットされている。プレイヤーがやることはマップに散りばめられた地形を駆使し、あらかじめ組み上げたデッキから自動で補充される徴発ポイントを用いて部隊を展開し、ひたすらに相手側陣地を蹂躙することである。
それならばシンプルすぎてやることが少ないゲームだろうか?もちろんそんな事はない。
まず、戦闘で使うユニットデッキの作成が奥深い。プレイヤーが指揮できる師団は大きく連合国側と枢軸国側で分かれており、連合国は大量の歩兵を展開する質量戦や、充実した航空支援を受けた戦闘がやりやすいようにデザインされている。
一方、枢軸国側(というかドイツしかいないのだが)はTIGER戦車や8.8cm FlaK(そう、少佐も大好きなアハト・アハトだ!)など強力な兵器を扱うことが出来る。8.8cm FlaKは対空砲のカテゴリながら対戦車砲としてぶっ放すことも可能だ。よくわかっている!
これらのユニットはそれぞれの師団で特徴あるデッキプールとなり、思い思いのユニット編成をおこなうことが出来るのだ。
部隊の配置は前述の通り、自動で貯まっていくポイントを支払っておこなうのだが、デッキを組んだ時点で各主部隊の最大出撃数も決まっており、徒に消耗させるとポイントはあっても出撃出来ない状況となる。
ゲーム開始時から終了までの全戦力を見通すことができ、それを元に戦術を組むという感覚はRTSでは珍しいように思う。アナログボードゲームのようといったところか。
全ての要素を組み合わせろ!使えるのは手元のカードのみだ!
地上戦での主役として思い描く兵器はなんだろうか。筆者は戦車である。木々を物ともせずかき分ける重厚な転輪、憎き敵国をボロクズのように引き裂く主砲……。
では今作でそのような雄姿を夢見て戦車を突っ込ませると何が起こるか、大量の鉄屑が生産される。
今作ではユニットは8種類に大別されるが、それぞれが得手不得手を持ったユニットとなっている。
歩兵は低コストで出撃ができ、市街地や森などに潜むことが出来るが、トラックで移動をしている瞬間は非常に無防備であるし、装備によっては装甲車両に対して効果的な手段を一切持たない。
戦車は前方装甲が厚く、大抵の機動ユニットを蹴散らすことができるが、視界が悪く、随伴歩兵がいなければケツからランチャーをぶち込まれて瞬く間に炎上する。
対戦車砲は機動力が劣悪であるが、視界が取れる適所に配置できれば強力な火砲で何台もの装甲車両をスクラップにできる……といった具合だ。
もちろん、出撃させることが出来るのは事前にデッキへ組み込んだユニットに限られるため、それぞれの出し頃を考えることが重要である。
内政や生産要素が無く、展開できる全戦力が開始時から決まっているからこそ、全ての部隊を効果的に働かすことが出来る部隊構築や、陣地配置の必要があるのだ。
前線を押し合え!戦況は常に変化する!
戦いの目的はざっくり言ってしまえば陣取りである。お互いに部隊を展開し合い、撤退と進撃を繰り返して前線を押し上げていく。
前線はビジュアル的に非常にわかりやすく表現されており、どこへ戦力を差し向ければ良いかが一目瞭然となる。
これによって、戦場を探し回る索敵では無く、戦うための索敵からスタートするためプレイ中にダレずに戦闘に没頭できる。
マルチCOOPがアツい!互いに協力して勝利を目指せ!
このゲームはキャンペーンシナリオがあり、スカーミッシュでAIとの対戦もできるためソロプレイでも十分楽しめるが、敵AIを交えての4対4などのマルチプレイでの協力戦が非常に面白い。
デッキを組むにあたって各々師団を選択するのだが、師団には戦車師団や空挺師団などそれぞれ特色があり、デッキに組み込めるユニットも師団によって制限される。
すなわち、それぞれのデッキに得意な場面、苦手な場面が生まれるのである。
強力無比な戦車隊を繰り出すことが出来るが、航空支援が貧弱で火砲に陣取られると身動きができない状況や、砲撃や空爆で相手を弱らせることは出来るものの、機動戦力に欠けるため決定打を繰り出せない状況。
そういったときに、お互いの師団で弱点を補い合って敵AIと戦う体験は非常にエキサイティングであり、時間を忘れて盤面の攻略へ没頭する体験が出来る。
発売して時間が経っているゲームであり、マルチプレイロビーが盛況であるとは言いづらいが、ゲーム仲間に紹介してでも楽しんで貰いたい部分である。
このゲームだからこその楽しみを持つゲーム!RTSというジャンルだけを見るのは勿体ない!
内政面を削り、戦術面に集中するゲームシステムや、事前に出撃可能ユニットを決定するデッキシステムなど、RTSゲームとしては異色な部分も多い作品である。
しかし、それらの選択的集中が忙しなさが抑えられたゲームスピードや、わかりやすい盤面理解などに与していて、このゲームだからこその面白さを作っている。
RTSというジャンルに興味はあるけれど操作の多さや並行する要素を把握しきれなくて…といった人にはもちろん。バリバリのRTSプレイヤーでも、こういった戦術面の楽しみがあるのかという発見があるため是非とも触って貰いたい。
部隊構築の楽しみなどから第二次世界大戦というテーマが好きなゲーマーにも、もちろんオススメだ。
阪神大賞典予想
阪神大賞典といえば去年キセキが外したのを除けば10年で9回一番人気が馬券対象となっているガチガチレース。もっとも固い重賞なんて言われている。
血統としてはディープ産駒の独壇場。タフネスに秀でるサンデー系統と欧州母父の組み合わせも一矢報いるか。
「最も強い馬が勝つ重賞」の呼び名の通り重賞実績は重要。前走有馬記念組は信頼度を高く見てよい。
波乱要素としては明日は相当な悪天候が予想されることでの道悪か。しかし、3000Mという距離を考えると展開一発で逃げ切れるかというと厳しいところがあるのでは。
やはり人気通りの鉄板レースと予想する。
それを踏まえて本命はアリストテレス。
前前走の菊花賞では重賞初挑戦ながらクラシック無敗三冠馬コントレイルにクビ差に迫る2着。勝ち負けこそはさすがに実力負けと思うが、今回の出走馬の中では頭抜けてるいると見る。明日は道悪だろうから、前走のAJCで道悪を走って勝っているのも好条件。血統的には母父こそディープではあるものの、父はエピファネイアであり定石からは外れる。ただ、むしろタフさが要求されそうな明日のレースではプラスに働くのでは。
対抗はユーキャンスマイル
6歳と高齢ではあるが昨年の同レース勝利を評価。もっとも近走はメタメタなのですでに下降線ということも十分ありうる。色々とわかる一戦になるのでは。
前走有馬記念組は結果が良いのだけれど、出てるとは言え11着という結果をどう見ればいいのやら…。
鞍上武がどこまでやれるか。でも別に武が強いレースでもないんやな。
抑えはディープボンド
父がディープ系、母父はキングヘイローの欧州系で条件は満たす。重賞ではイマイチパッとしないが掲示板には残っているので最低限の実力はあるとみてよいのでは。
このレースで勝率が一番高い4歳馬であることも評価。
ヒモはショウリュウイクゾ
というか前走重賞勝ちがアリストテレス以外にはこいつしかいない。個人的にはディープボンドと評価拮抗だけど馬齢で下げた。
ただ、親父のオルフェーヴルが阪神で何をやったかを思うとレース場が合って無さそうとか思わないでも無い。
穴馬ナムラドノヴァン
大雨ならウチパクがなんかやりそう。血統的にも条件を満たす。本当にやってくれたら楽しいね。
というわけでまとめると
9アリストテレス ◎
10ユーキャンスマイル ○
6ディープボンド▲
8ショウリュウイクゾ△
5ナムラドノヴァン☆
馬券としては結局アリストテレスガチガチの鉄板じゃ無いかな。
ワイドで9-4、5、12でも買っとくのが面白そう。
レースを見る、という祈り~お前ラスト直線でスキル一発出れば勝ったやんけ~
愛は祈りだ。僕は祈る。僕の好きな人たちに皆そろって幸せになってほしい。それぞれの願いを叶えてほしい。温かい場所で、あるいは涼しい場所で、とにかく心地よい場所で、それぞれの好きな人たちに囲まれて楽しく暮らしてほしい。
――『好き好き大好き超愛してる。』
発走の十分前、馬券購入が締め切られる。購入までに検討することは無数にあった。
前走レースの成績、今日の馬場と脚質、騎手の傾向、パドックでの調子……全ては締め切りと共に取り返しが付かなくなり、買わなかった可能性は「たられば」となる。
ゲートが開く瞬間、軸馬を祈るような目で見る。頼むからすんなりと出てくれ……祈りは無力であり、2019年のフェブラリーS ノンコノユメは見事に出遅れた。
好位で競馬していても安心をするのはまだ早い。最後の直線が全てを決める。
縋るような目で見つめ続けるしかない。
馬の神様は人の祈りなんて聞き入れちゃくれない。人の気持ちが分からない。たぶん馬だから。
2019年天皇賞(秋)、サートゥルナーリアは俺たちの切望に足を取られたかのように失速していった。
そんな思いをしながらレースを見つめてしまうのは、ゲートが開く度に新しいドラマが始まるからだ。
2014年桜花賞、一番人気のハープスターは託された多くの馬券(そしてのっぴきならない金)に背中を押されるように猛烈な末脚を決め、ゴール板前での差し合いを制した。
贔屓の差し馬がラスト400で他の馬とは違う加速を始めたとき、馬の頭をした神に感謝する。祈りの言葉が口から漏れる。
「行け!差せ!そのままだ!進め!」
ウマ娘のプレイ中、レース画面で何をしているのか。祈りである。既に能力値はいじれず、スキルを取り直すことも出来ない。
ゲートが開く瞬間、右上に出遅れの表示が出ないことを祈る。中盤のコースの取り合い、馬群に飲まれないことを祈る。そして最終コーナーからの立ち上がり、前が空きスキルが存分に発動されることを祈る。愛は祈りだ、僕は祈る。
祈りに答えたウマ娘が、先頭でコーナーから立ち上がり悠々と直線を駆け抜ける。残り200を切り猛烈なスパートが辛くも先頭を捉えゴールする。そこに生まれる興奮は、ドラマは競馬とウマ娘を繋ぐものとなる。
愛が足りなかった結果、URA決勝まで行ったナイスネイチャがラスト直線で何もスキルを使わず、何度目かの惜敗を喫したのでこの文章が生まれました。