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【レビュー】『PGA TOUR 2K21』 ゲーマーよ!ゴルフも最高にエキサイティングなゲームだぞ!

ゲーマー諸氏、今までゴルフクラブをどのように使ってきただろうか。

神室町でチンピラを殴るためだろうか、ショッピングモールでゾンビたちを撃退するためだろうか。

ここでお伝えしたい。ゴルフクラブでゴルフをすると楽しいということを!

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PGA TOUR 2K21はゴルフスポーツゲームだ。

プレイヤーは1人のゴルファーとして大会に参加し、キャリアを積み、実名で収録されているプロゴルファーを倒していく、らしい。

正直言って、これまでゴルフのプロシーンに特段の注目をしてこなかったので、大会やプロの名前が出てきてもピンとはこない。

今まで「みんなのGOLF」などを少しプレイしたことがあるから一般的なゴルフのルールと用語がわかる程度だ。

しかし、ゲーム仲間の紹介でプレイしてみたらこのゲーム、とんでもなく面白いのだ。

攻略しがいのある操作とゲームとの対話

ゲームの面白さとはなんだろうか。

様々な手段を試し、ゲームを読み解いて進行させていくこと。体感的な操作を反復することで身体に覚えさせ、安定したプレイができるようになること。練習の結果がスコアとして反映され、満足感と達成感が得られること。

これらはゲームの面白さの中で重要な位置を占めているだろう。

そして、このデジタルなゴルフにもそれらは詰め込まれている。まさにゲーマーズゲームなのだ。

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これがショット時の操作画面だ。ゲージがない?そうである。

本作の大きな特徴は、ショットのパワーやタイミングなどをゲージの目押しでは無く、マウスを前後に滑らせる体感的な動きで操作する点だ。

これが非常にファジーなもので、長距離のドライバーショットなどはマウスを押し出す操作が左右にぶれたり、ゲームが求める速度から外れると容易に曲がっていく。

ショットを打つ前にスイング練習をするという操作ができるため、そこでクラブを試し振りして、狙った場所に打ちこむ好ましいタイミングを探っていくのだ。

これまでにないゲーム操作だから最初は難しい。しかし、難しすぎることは無い。

1ラウンドを回る頃にはなんとなく感覚が掴めてくる。3ラウンド回れば、常に全力真っ直ぐでは無く、曲げたり加減したりの使い道も少しだけ見えてくる。

筆者としてはパター時の予測弾道ラインなどのアシストも切ることを勧めたい。

こうするとグリーンでは、表示されるグリッドに流れる光を見て斜度を見極め、自身でコースを予測して狙いを定める必要があるのだが、これまた最初は5mのパットでも絶望的だ。

しかし、何度も経験して、これぐらいの傾きだとこの曲がりという自身の蓄積が出来てくると、何本かに1本は納得のいくパターが打てる時がある。

これは、感覚的な操作の体得と、プレイ経験が積み重なっておこなわれるゲームとの対話である。エイム操作を手に馴染ませることで、確実なヘッドショットができるようになることや、RPG戦闘でアイテムの使いどころがわかることで、幅のある戦略が取れるようになることと一緒だ。

実にやりがいのある「攻略」なのである。

ゲーム側も一筋縄ではいかせてくれない。絶え間なく変化する風はこちらのショットを曲げてくる。同じコースでも毎回違う攻略が要求される。

身体に馴染ませても操作ミスは出る。ショット時のマウス操作をしくじって狙いでは無い場所へ曲げてしまったら、今度はリカバリーの検討が始まる。

本作では、距離を飛ばせるドライバーショットや、グリーンに乗せるためのピッチショットなど打ち方や使用するクラブによって、それぞれショット時の適したタイミングが変わる。

プレイしていくうちに、自身の得意とするショットが見えてくるだろう。そうすると、いたずらに距離を稼いで飛ばすのでは無く、ミスが少ない自信がある距離に寄せてグリーンを狙うなど、あなただけのプレイスタイルが確立していくのだ。

スコアシート、それは憎くもあり誇らしくもある。

このゲームをさらにアツくさせるのがスコアだ。

いや、ゴルフなんだからスコアがあって当たり前なのだが。

純粋にゲームとしてプレイする観点においても、非常に機能している。

1ホールという短いスパンで即座に結果が出る。調子が良ければイーグルなりバーディーなりと賞賛されて気分が良いし、パターで手間取ったりすればあっという間にボギーを叩いてガックリくる。自分のプレイに対しての評価が即座につくのだ。

ところが不思議なことに、18ホール回ってのラウンドスコアとなると今度は実力なりに収束する。

前半を好調に回られて気分良くしていると、思わぬところで連続ボギーを叩いたり、はたまたその逆があったり。ホールの結果という短いスパンでは相応の揺らぎがあるが、最終的に出てくるラウンドスコアは納得感があるのだ。

だからこそ、試行錯誤を繰り返す毎に徐々に良くなっていくし、始めてアンダーパーで回れたときの喜びはひとしおだった。

 ゲーム的な数値の蓄積というよりは、プレイヤーの習熟を楽しむタイプのゲームなのだが、その習熟がラウンドスコアとしてハッキリ反映されるのがプレイ意欲を燃えさせるのだ。

おかげでアンダーパーを目指そうと躍起になって9時間ほど連続プレイしてしまったりなどしたが……。

ここまで語ってきたのはゲーム内の難易度プリセットを「プロ」にし、さらにスイングのタイミングバーとラウンド3回使えるパターの弾道予測機能をオフにした設定である。

本作は非常に多岐にわたる難易度設定ができるため、プレイヤーが望むならば各種アシストやインジケーターをオンにしてカジュアルにプレイしていくことも可能だ。

慣れないうちはカジュアルな設定で感覚を掴んで、徐々に上げていくのも良いかも知れない。

しかし、前述の通りプロ難易度の自身の感覚を掴んでいく過程や、ままならない操作が練習を経て安定していく道のりは多大な面白さを提供してくれる。

筆者としては是非ともプロ難易度でのプレイをオススメしたい。

ながらゲーとしてのゴルフ

ここまではゲームと1対1で探求していく面白さについて書いたが、また別の面の面白さもある。

マルチプレイで仲間を募ってVCなどしながらホールを回るのもまた面白い。

即応性が求められないので、各々のペースでゆったり話ながらプレイできる。

ラウンドが進行していく中で、自然とお互いのショットを褒め合ったりなどして話題も尽き無い。

コミュニケーションツールとしてゴルフは優れているのではないだろうか。なるほど、世の会社員の恒例行事にゴルフがあるのはこういう理由なのか……。

これまでの文でおわかりの通り、筆者はちゃんとしたゴルフのプレイ経験はまったくない。

なので、本作に感心しているのかゴルフという競技に感心しているのか混じり合った感想となったが、それだけ本作がゴルフを感じさせる作品であるということで着地点をつけるとしよう。

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