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ゴッドオブウォー クリア感想

 嵐のような攻撃、響き渡る轟音、次々と押し寄せる敵。
 ゴッドオブウォーはこの上なく暴力を楽しめる大作アクションゲームだ。

 まず、プレイして感じるのはアクションの気持ちよさである。360度から押し寄せてくる敵を一騎当千に散らすために、主人公たるクレイトスが取れる行動は多彩だ。敵を空中に打ち上げそのままお手玉することも出来るし、遠くから攻撃するこしゃくなヤツには斧を投げつけてお見舞いだ。あるいは、鎖付きの双剣である「ブレイズオブカオス」を投げつけて引きずり込んでから打ちのめしたっていい。盾での防御をタイミング良く行えばパリィをして強力な一撃をぶち込むことも出来る。料理に使える道具は多い。材料たる敵も周囲からどんどん来てくれる。操作をしていて、敵を倒しているだけで楽しめるアクション性は間違いなくこのゲームの素晴らしい点の一つだ。

 

 

 アクションの面白さがゲームの楽しみを広げる横方向の役割ならば、プレイヤーをゲームクリアまで導く縦方向の役割はシナリオだろう。今作のシナリオは大きく二つの見方をすることが出来る。世界観や語られえぬ人物たちも含めた壮大な神話としての物語か、旅する父子の絆を描く等身大の冒険譚としての物語かだ。

 壮大な物語としての今作のストーリーを捉える場合、少々骨が折れる部分はある。北欧神話をかなりガッツリとテーマにしているため、そういった知識が全くない状態からゲームから得られる情報のみで理解していくのは難しいだろう。
 一方、クレイトスと息子アトレウスの物語は丁寧に描かれている。今作はオープンワールドゲームとしては言葉を交わすキャラクターは少ない。その分、関係性が濃密に描写される。

 

 旅の目的はシンプルなものだ。クレイトスの妻、すなわちアトレウスの母親であるフェイの遺灰を、遺言通りに最も高い山頂から撒くために、ひたすらに山頂を目指す。世界を救うためでも神々を打ち倒すためでも無い。このシンプルな目的はしっかりとゲームを貫いている。

 旅の中で、クレイトスとアトレウスの絆は育っていく。それはアトレウス自身が経験により成長していくということもあれば、クレイトスもまた父としての成長を見せると言うことでもある。

 時には、別の家族との接触がお互いに影響を与えることもある。それは、仲の悪いドワーフの兄弟かも知れないし、森に住む魔女とその息子かもしれない。

 今までのシリーズで孤独に、暴力的に、時には狂気的にひたすら敵を討ち滅びしてきたクレイトスが、父として息子に何かを伝えていこうとする姿は、シリーズファンにはなんだか感慨深いものがあった。

 世界観に関わる壮大な物語をメインストーリーで深く絡めないからこそ、親子の物語をじっくりと噛みしめられるのだ。

 クレイトスの両手が届く範囲からストーリーが組み上げられている、等身大のストーリーと言えるだろう。

 

 今作は一見するとオープンワールドのようだが、オープンワールド的要素は少ない。順番が固定されている一本道のメインクエストがあり、その寄り道としてサブクエストがある程度だ。自由に使えるファストトラベルすらメインクエスト終盤にならないと開放されないため、まずはメインクエストを終わらせるのが一番楽だろう。

 サブクエストも、サイドストーリーというよりはさらなるアクションと戦いを求めるプレイヤーのためのコンテンツといった感じである。

 もっとも、その仕組みだからこそメインクエストを没入して楽しめるとも言える。オープンワールドでは無いということは間違いないが、そのことはこのゲームの楽しみに問題は与えていない。

 

 クリアしたときは、良い映画を観たような満足感があった。終盤のムービーシーンでクレイトスとアトレウスが見事なコンビプレイで敵を打ちのめすシーンがある。QTEもあり、こちらの入力に合わせて親子が入れ替わり華麗なコンビネーションを見せていく。2人のなめらかな攻撃が、ここまでの旅で得たものを表しているようで敵に矢を突き立てながら感動してしまった。顔面をぶん殴り、放り投げ、矢を突き立てるシーンで家族愛を感じて感動するゲームはこれまでで初めてだし、今後もあまりないだろう。

 

 不満点としては、GoWシリーズといったらバリエーション豊かな神話の怪物的ボス戦のイメージがあったが、今作は敵のバリエーションは少々物足りない。
 中ボスとしてやたらとオーガが出てくるので、正直終盤は巨体を倒すワクワク感は無くなってしまっていた。これで、大物とのワクワクするバトルがいくつかあれば完璧なアクションゲームと言えただろう。

 

 トータルとしては、間違いなく名作である。ほどよいボリューム感で、爽快でやり応えのある暴力的アクションを楽しめる。父子の絆は感動を与えてくれる。PS4後期の作だけあってグラフィックも美麗だ。

 PS5を所持していれば5月に終了してしまうPS Plus コレクションで遊べるため、是非ともライブラリに入れておくことをお勧めする。