淡々きゅうきゅう

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【レビュー 】『FAR: Lone Sails』涸れた海を船で走り右へ右へ

荒れ果てた大地をひた走る。人影も無く、声も無く。

黙々と動力をくべ、巨大な船を進ませる。

そんな世界観が好みならばFAR: Lone Sailsをプレイするのはいかがだろうか。

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風景を眺め、雰囲気にひたり、船を進める。

本作は右方向へひたすら進んでいくゲームだ。ジャンプなどを駆使して進行する部分はあるが、アクション性は求められないため、アドベンチャーゲームというのが適しているだろう。

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移動のほぼ全てはこの巨大な船によっておこなわれる。プレイヤーは船内を動き回り、動力をエンジンにくべ、たまった蒸気を排出し、風が出れば帆で受けて、時折起こるアクシデントには溶接や消火で対処する。

ゲーム世界では主人公以外に動くものは動物と機械だけである。巨大な風力発電施設や英語が書かれた看板など、人類の痕跡はあるが、自ら語るキャラクターや書物は出てこない。

背景や雰囲気から、このゲーム世界について想像を膨らませていく。

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このゲームで何よりも気に入ったのが船の操作感だ。各所についている赤いボタンはガッチリと重厚な押し心地で可動し、船の各所はボタンに対応して動く。

コクピット席など、ボタンや計器が多くあるガジェット感にときめく人は多いのではないか。そういった喜びを満たす、操作をしている感覚を味わうこと出来る。

巨大な船を動かす納得感があるギミックは、このゲーム最大の楽しみだろう。

リスクの無い、単調さを感じるゲーム性

意味深な世界観を静かに語る背景、重厚感あるギミックに溢れた船、それらはこのゲームの良さであるが、それが良さの全てでもある。

プレイヤーは忙しく燃料をくべ、進行が途切れないように忙しく立ち回ることもできるが、それにゲーム的必然性は全くない。タンクの燃料が無くなるまでのんびりと眺め、船が止まったらやれやれと燃料補給をしても、ゲームとしては全く一緒だ。

そこに燃料管理のマネジメントやトラブルに忙しく対応するアクション性はないのだ。

筆者はゲームの面白みに、リスクとリターンの繰り返しが関わっていると考える。

STGであれば、あえて敵弾にかするように立ち回ることで上昇するスコアはスリリングで、さらなるギリギリの操作をしようと腕前を磨くモチベーションとなる。

アドベンチャーでも、ゲーム進行に悩み、情報を集め、それが結実する喜びはひとしおだ。

本作は、そういった部分から離れた部分を提供するのが目的であるということはデザインからわかるが、それでも途切れなく補給する必要が特にない燃料を補給し、放置してもたいして致命的にならない船のトラブルに向かい合うのはゲームとして退屈さを感じてしまった。

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また、iPadでプレイしていたからかわからないが、進行に支障が出るレベルで画面が暗い部分がありここは厳しかった。

 

もっとも、このゲームがプレイヤーに届けたいものは言語によらない世界観表現であり、船の操作などから伝わる質感であろう。それは十二分にいいものだった。

この項については筆者がゲームに何を求めるかという部分の話であり、トータルの感想が全く違うものになるプレイヤーも当然いるだろう。

次作への期待

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次作である『FAR: Changing Tides』の発売が予定されている。

ストアページを見るに、言語で語らない世界観や船でひた進むゲーム性は受け継ぎ、3Dグラフィックとなって映像表現がさらにリッチとなるようだ。

このゲームが表現したい物について、グラフィックが強化されるのは大きくプラスであると思う。

海や建造物の表現強化もさることながら、船の操作のガジェット感もさらなる面白さが増しているよう期待したい。

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